やっぱり膠だ!


すべての敗因は木工用ボンドにあると考えた.

木工用ボンドはそれはそれでいい接着剤なんだけど楽器には適さない面もあるということだ.

早速にかわを買いに行った.いくらぐらいするものなのかの見当もつかないまま画材店へ出向いた.
膠は日本画で使用するらしい.でも日本画の何に使うのかはさっぱり知りません.

店に入って、「にかわを下さい」というと何種類も見せてくれた.

もうすでに液体状になっていてビンに入っているものもあれば、サイコロ状のものも、粒状のものもあった.サイコロ状のものには「鹿膠」というステッカーが貼ってあって5〜6粒しか入っていないのに900円もしていた.

結局、一番安い「粒膠」を100グラム190円で購入した.

100グラムの膠

粒膠拡大

粒の形状は一定ではなく、ほとんどにおいも無い小さな粒だった.何の膠かを尋ねたが、よくわからないとのことだった.

ビンに入れる

膠をふやかす.

膠を少量の水とともに小さいビンに入れて半日ほどふやかした.
水の量は膠の粒がようやく隠れるぐらいのひたひた程度とした.
時間とともに少しづつ水を吸って粒が膨らんできた.

膠を湯煎にする

十分水を吸ったところで瓶ごと湯煎にした.
思った以上にさらっとした液体になった.ためしに木の端材に塗ってみるが、こんなんでくっつくの?っておもうほどさらさらした感じである.しかし、その端材を別の端材にくっつけて、しばらくするとちゃんとついている.力を入れて引き剥がすとねちゃーーーとした感触で剥がれた.これなら十分乾かせばくっつくなと確信できた.

筆を使い膠を指板に塗り、ネックに乗せ位置を確認する.
前回同様、割り箸を使いゴムで止めるが、今度はゴムで限界まで締めた後、積み木をはさんで、更にしっかりと固定した.指板の下端もしっかり圧がかかる様に爪楊枝をはさんだ.

再度指板を貼る

はみ出た膠はお湯をつけた筆で拭くと簡単に取れる.
膠が実に使いやすい接着剤でびっくりした.
ただ前もって水につけておく必要があることと、湯煎しないと使えないというだけだ.
しかし、接着力は強いし(先のテストに使った端材を完全に乾いた後で剥がすと、接合面ではなく木が剥がれた)、乾いた後ですら剥がそうと思うと簡単に剥がすことができるのである.(蒸しタオルで蒸してやると剥がせる)
安いし、保存も簡単だし、手についてもお湯で洗うときれいに取れるし、環境にもやさしいし、どうしてこんなに廃れちゃったのか不思議なくらい使いやすい接着剤だった.

翌日の膠

ところで、先の量は多すぎました.ほとんど全部残ってしまいました.固めのゲル状になったところで瓶から取り出し生ごみとして捨てました.不用意に液状の膠を下水に捨てて、パイプが詰まると困るから.
瓶はお湯で洗うとぴかぴかのもとどうり.やっぱり使いやすいです.


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